妖怪人間ベラ (2020):映画短評
妖怪人間ベラ (2020)ライター3人の平均評価: 3
活きた勢い
英勉監督作品は時に勢いに任せてストーリーの面で粗が気になる時もなくはないのですが、ホラー映画の場合はこの勢いがとてもいい方に活かされます。
『貞子3D』以来のホラー畑の作品となりますが、もっとこのジャンルでハッタリの利いた絵を作ってほしいと改めて思いました。
演者で言えば桜田ひよりが大爆発、ここまで狂いきったキャラクターを演じるとは思いもしませんでした。
映画全体のバランスを崩し書けるほどの暴走です。
まさかの『シャイニング』オマージュに爆笑!
リメイクではなく、68年アニメ版の「幻の最終回」をめぐる恐怖というオリジナリティ溢れる設定がとにかくいい。しかも、ノリに乗ってる英勉監督だけに、いかにも保坂大輔の脚本らしいJホラー展開になっても、相変わらずの過剰演出&悪ノリ感はブレず。『シャイニング』オマージュもあった『レディ・プレイヤー1』の森崎ウィンが、ジャック・トランス(ジャック・ニコルソン)化しての怪演は爆笑モノだ。そういう意味では、『貞子3D』シリーズの二の舞にならず、ひと安心だが、同時進行で進んでいたベラをめぐる美少女ホラーは、ほぼ放棄(続きはウェブで?)。かなり思い切った構成で戸惑わせるのも監督の狙いなのか?
妖怪人間ベラが女子高生だったら
妖怪人間ベラは、いったいどんな女子高生だったのか。それが描かれるなら見ずにはいられない。映画はそれを描きつつ、並行してこの物語の原点となったTVアニメシリーズの「放送されなかった幻の最終回」の謎を追うドラマが展開し、2つの物語を楽しむ仕様になっているので、もっとベラの女子高生時代を見たいならYouTubeの本作公式チャンネルで連続ドラマ「妖怪人間ベラ episode 0」をチェック。ある女子高にベラが転校してきて、さまざまな事件が起きる。ドラマ版で学食で一人飯するベラなど、ありそうな光景の数々が見られるのも楽しい。個人的にはもう少しベラの内面を知りたいが、それを隠すのもベラらしいのか。