十二単衣を着た悪魔 (2019):映画短評
十二単衣を着た悪魔 (2019)ライター2人の平均評価: 3
じつは、伊藤沙莉のキラキラ映画
タイトルをモジった『プラダを着た悪魔』のポップ&キャッチーさは皆無なうえ、ドロドロな韓流宮廷ドラマを狙っての空回り感やら、まったく作品のテイストに合ってないOKAMOTO'Sの主題歌やら、一本の映画として観ると、いろいろと難アリ。そんななか、伊藤沙莉と伊藤健太郎のW伊藤が時空を超えたラブストーリーを演じるという、「トランジットガールズ」の延長戦ともいえる展開に注目! お互いキラキラ映画のような表情を魅せ、スピッツの「チェリー」を口ずさむ多幸感は、同窓会の域を超えており、黒木監督のまさかな演出的にも「じつはこちらの方に思い入れが強い?」と思ってしまうほどで、★おまけ。
いつの時代もしたたかな女が生き残るね
源氏物語を「プラダを着た悪魔」的解釈で読み解いて、キャラクターを新たな角度から新分析した青春ドラマ。フリーター青年がいろいろと不便な平安時代に現代では感じられない生きがいを見出し、弘徽殿の女御にメンタルを鍛えられる展開は新型コロナで生き方を見直したい人の共感を得るかも。コミカルだけど、メッセージ性もある作品だ。三吉彩花がしたたかで頭脳明晰なヒロインを好演している。低めに抑制した発声もいい。最近とても気になっている伊藤沙莉が主人公の妻役で見事なシーン・スティーラーぶりを発揮している。