陶王子 2万年の旅 (2021):映画短評
陶王子 2万年の旅 (2021)改めて見つめたい器の歴史と人類の知恵
陶芸に詳しい人なら既知の事柄かもしれない。それでも器の精霊”陶王子”による巧みな導きと美しい映像に魅せられ、引き込まれずにはいられない陶磁器の歴史。それは自然から日用品を生み出した先人の知恵を受け継ぎながら、ファイン・セラミックまで誕生させてしまった人類の足跡でもある。そこでふと考える。食べ物を盛る用途だけなら葉でも手だっていいはず。なぜ器に実用性だけでなく芸術性も求めてきたのかと。そこには先人たちが営みの中で食に重きを置き、地球の恵みを頂戴する行為への感謝が託されていたはず。図らずにもコロナ禍で食とじっくり向き合う機会を得た今だからこそ本作で綴られる物語の数々が胸に響くはずだ。
この短評にはネタバレを含んでいます