きこえなかったあの日 (2021):映画短評
きこえなかったあの日 (2021)耳のきこえない人たちの10年と、私たちのこれから
東日本大震災から10年を振り返る映像作品は多いが、耳のきこえない人たちに焦点を当てたのは今村彩子監督ならでは。あの災害で得た教訓が、次にどのように生かされたのか? 災害が起こる度に現場に向かい、点ではなく線で追った労作だ。興味深いのは仮設住宅や災害復興住宅で育まれた交流だ。引っ越しを強いられる度にコミュニティが分断されることが懸念されるが、今まで触れ合うことのなかった人たちが軒を連ねたことで新たな絆も生まれたことに一筋の光を見る。同時に浮き彫りになる、口話法が重んじられた日本のろう教育の問題点。これからの10年のために、私たちが知るべきことが本作に詰まってる。
この短評にはネタバレを含んでいます