CHAIN/チェイン (2020):映画短評
CHAIN/チェイン (2020)『燃えよ剣』よりも志が明確な幕末時代劇
幕末の京都を舞台に、新選組と御陵衛士(ごりょうえじ)の壮絶な抗争劇を中心としつつ、動乱の時代に翻弄された名もなき人々の物語を描く。京都芸大映画学科の学生とプロの映画人が協力して劇場用映画を撮るという、ユニークなプロジェクトのもとで作られた時代劇。予算が少ないことは明白で、セリフの聞きづらさも気になる。しかし、国がイデオロギーで分断されて愚かな殺し合いが繰り広げられ、国民のごく一部に過ぎない武士の男性たちが勝手に社会の成り行きを決め、その他大勢の庶民(特に女性)が犠牲を強いられるという幕末の動乱に、現代日本の有様を投影しているストーリーは秀逸。『燃えよ剣』よりも志が明確で見応えがある。
この短評にはネタバレを含んでいます