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Summer of 85 (2020):映画短評

Summer of 85 (2020)

2021年8月20日公開 101分

Summer of 85
(C) 2020-MANDARIN PRODUCTION-FOZ-France 2 CINEMA-PLAYTIME PRODUCTION-SCOPE PICTURES

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

森 直人

これはもうフランソワ・オゾン監督の自家薬籠中

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

原作はエイダン・チェンバーズの1982年発表の小説『おれの墓で踊れ』。映画ではザ・キュアーの「In Between Days」という抜群の選曲に合わせ85年設定となった。結果的にオゾン版『君の名前で僕を呼んで』(さらに『太陽がいっぱい』&『リプリー』)に見えてしまうが、このひと夏のマリンカラーの光景には監督自身の記憶もたっぷり反映されているはずだ。

ヘッドフォンを恋する相手にそっとかける『ラ・ブーム』(80年)の再現が白眉。『サニー 永遠の仲間たち』&『SUNNY 強い気持ち・強い愛』でもオマージュされた名シーンだが、ロッド・スチュワート「セイリング」との選曲が面白い、というかどこか笑える。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

一途なゆえに切なくて危うい思春期の純愛

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 1985年の夏休み、南フランスの海辺の避暑地、感受性豊かな16歳の少年アレックスは2つ年上の少年ダヴィドと出会い恋に落ち、やがて永遠の別れを経験することになる。さながらフランソワ・オゾン版『君の名前で僕を呼んで』という印象だが、ここでは初恋のときめきや高揚感だけでなく、好きな相手が世界の全てになってしまう思春期の盲目的な恋愛の危うさ、その一途な純情が招いた悲劇からの再生が瑞々しいタッチで描かれていく。『ラ・ブーム』へのオマージュや’80年代ヒットソングなどの胸キュン要素も満載。「セルフ・コントロール」がローラ・ブラニガンじゃなくてラフのオリジナル盤なのもポイント高い。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

音楽で泣かす、一途すぎる初恋ストーリー

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

フランソワ・オゾン監督の自己投影がアリアリと感じられる物語だが、そこは彼も巨匠の域。主人公にベタに共感して撮ってるわけではなく、あくまでも冷静に16歳の「ひと夏」の、限りなくセンシティブで、限りなく苦い思い出をクールに紡いでいく。
タイトルどおり1985年が舞台なので、当時のムードが、フランスの小さなビーチリゾートの背景に美しすぎるほどマッチ。多くの人をノスタルジックな気分に浸らせる効果バッチリだ。
音楽では(なぜか75年発売の)ロッド・スチュワートの「セイリング」がキーポイントだが、2回流れる、その2回ともが本作に陶酔する見せ場。主人公の想いに浸りながら観た人は、2回目は号泣必至ではないか。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

永遠の6週間

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

お得意の毒っ気は薄味なうえ、シンプルな話だが、近年穏やかだったフランソワ・オゾン監督作としては本領発揮な青春映画。どうしても『君の名前で僕を呼んで』と比較しがちだが、全編フィルム撮影が醸し出す80`sの空気感に、冒頭のザ・キュアー「In Between Days」、『ラ・ブーム』オマージュから始まるロッド・スチュワート「Sailing」の使い方に高まること必至。悪趣味に聞こえる原作タイトル「おれの墓で踊れ」に関しても、どこか「きみの膵臓をたべたい」にも通じるラブストーリーとしての深みアリ。また、『海辺のポーリーヌ』と同時代のノルマンディーが舞台のバカンス映画としての醍醐味もあり、★おまけ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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