ジャッリカットゥ 牛の怒り (2019):映画短評
ジャッリカットゥ 牛の怒り (2019)人々の群から生じる熱が渦を巻く
逃げた牛を追いかける男たちの人数が、あっという間に膨れ上がり、暗い森の中を燃える松明を持って走り回る群となり、夜の大地を覆い尽くす大群衆となる。最初の目的は牛を捕まえることだったのだが、暴走する群れと化した人々には、その集団運動のエネルギーを増大させることがすべてになり、一種の祝祭のようなものが出現する。そういう物語に相応しく、色がすべて濃い。樹木の緑が濃く、土の赤が濃く、夜の闇が濃い。
そして冒頭から音楽映画でもある。牛の肉を叩き切るナタ、地面を蹴る人々の足、あらゆる音が音楽となる。遠くから聞こえてくる音を虫たちの鳴く音かと思って聴いていると、人間たちの罵声だと気づかされる。
この短評にはネタバレを含んでいます