すべてが変わった日 (2020):映画短評
すべてが変わった日 (2020)ライター2人の平均評価: 3.5
傷つき、血まみれになっても、家族を救えるか!?
『マン・オブ・スティール』に続き、K・コスナーとD・レインが夫婦を演じる。しかし悪と戦うのはスーパーマンではなく、ここでは年老いた彼ら自身だ。
彼らの戦いの理由は、現代版『血まみれギャングママ』というべき極悪一家に引き取られた孫を救うこと。アメリカの田舎町に根強く残る暴力的保守層を浮き彫りにしており、語り口がリアルである分、見ていてゾッとさせられる。
サスペンス濃度も高く、とりわけコスナーが一家の家に侵入する描写にはハラハラさせられるし、後半のバイオレンスの連打も衝撃的。家族愛と暴力という両極端な要素を入れ込み、スリラーを完結させたベズーチャ監督の才腕が光る。
ベテラン役者たちの演技が重みを与える
モンタナの農場に住む夫婦の静かな物語として始まるのだが、途中から急に緊張感と恐怖に満ちたスリラーになる。恐ろしさを生み出すのはレスリー・マンヴィル演じるキャラクター。そして、その状況に至るまでの過程をリードしたのは、ダイアン・レイン演じる、孫と元義理の娘の安否を気遣う妻だ。ウエスタンでもあり、リベンジものでもある映画を引っ張るのが女性というのは面白いと言える。ケビン・コスナーの控えめながらニュアンスある演技もいい。後半はバイオレンスもたっぷりで極端な展開になるので、これらの役者たちが与える重みがなければB級映画っぽくなっていただろう。