フタリノセカイ (2021):映画短評
フタリノセカイ (2021)随所に監督の優しさがにじみ出る
坂東龍汰と片山友希という若手実力派といえる2人の俳優が、トランスジェンダーとして葛藤する彼とその彼女という、かなりハードルが高い役どころを好演。なかでも、アドリブで演じ切った喫茶店のシーンは、見どころといえるだろう。“2人の世界”の前に立ちはだかる現代社会の厳しさをリアルに描きつつも、自身もトランスジェンダーである飯塚花笑監督の優しさが随所ににじみ出ており、いつの間に観客も2人の行く末を温かく見守ることに……。予算の問題もあってか、いろいろ詰めの甘さも目立つものの、十年に及ぶ愛の物語を83分でテンポ良く描き切った点と、賛否ありながらも希望を感じられるラストに、★おまけ。
この短評にはネタバレを含んでいます