COME & GO カム・アンド・ゴー (2020):映画短評
COME & GO カム・アンド・ゴー (2020)クール&シビアになりそうで、温かみに満ちていく不思議な叙情
日本人も含めアジア多国籍の登場人物。多様なエピソードが並列に進行するのは、この種の映画の原則どおり。しかし単純に並列ではなく、ひとつが濃厚に進めば、別はあっさり…と、配分とバランスが計算され、いつまでも観続けられる感覚だ。
基本的に犯罪の予感や差別などシビアな状況が漂い、痛々しい展開になだれ込むかと思いきや、その直前に別エピソードに移行したりと「つなぎ」のタイミングも絶妙。厳しさと優しさを自在に行き来し、つまりこの映画、やや大げさにいえば、あらゆる人生の縮図になっている。
失われた外国人観光客、留学生の苦悩など、コロナ禍の今観ると監督の意図とは別の感動に襲われ、「映画は生きている」と実感。
この短評にはネタバレを含んでいます