金の糸 (2019):映画短評
金の糸 (2019)ソ連構成共和国だったジョージア(旧グルジア)の愛と因縁を知る
2008年にプーチン政権のロシアに侵攻された件も記憶に新しいジョージア。首都トビリシを舞台に年配者三人の関係劇が、激動の歴史を投影する形で語られる。登場するミランダは旧ソ連の政府高官。プライドの高い彼女は大国の威光を象徴する人物で、アルツハイマーが始まりながらも西洋文化に染まった今のジョージアを嘆き、ソ連統治時代を懐かしむ。
かつて体制に苦しめられた主人公の作家エレネは、ラナ・ゴゴベリゼ監督の分身でもある。彼女は1928年生まれ。ワイズマン、イーストウッド、ゴダールの「花の30年組」よりも2歳上(本作発表時は91歳)。この貴重な最新作はロシアとその周辺の「個と歴史」を知る上でも最適の傑作だ。
この短評にはネタバレを含んでいます