冬薔薇(ふゆそうび) (2022):映画短評
冬薔薇(ふゆそうび) (2022)ろくでなしブルース
同じキノフィルムズ作品『凪待ち』で香取慎吾が演じた郁男を思い起こさせる、ワイルドでアウトローな主人公・淳。一方、感情移入できないほど、ろくでなしな性格ゆえ、“青春の蹉跌”というべき状況に追い込まれ、そんな彼を取り巻く大人との関係性や後々まで引きずるざわつき感からは1960年~70年代、ATG作品などで「(新人)」が演じた危うい匂いを感じる。それを新たなスタートを切る伊藤健太郎が演じるインパクトのデカさ。賛否間違いなしの一本だが、小林薫、石橋蓮司といったベテランから河合優実、坂東龍汰といった若手まで、脇の固め方も尋常じゃなく、攻めまくった阪本順治監督・脚本作といえる。
この短評にはネタバレを含んでいます