ラーゲリより愛を込めて (2022):映画短評
ラーゲリより愛を込めて (2022)ライター2人の平均評価: 3.5
王道+キャスティングの妙
TBS制作で、戦争を背景にした夫婦愛がメインの話だけに、『私は貝になりたい』あたりを思い起こさせるが、監督:瀬々敬久×脚本:林民夫の『糸』コンビということもあり、かなり王道路線。トゥーマッチな桐谷健太の芝居やわんこのエピソード、ダメ押しなクライマックスなどは賛否ありそうだが、じつはいいアクセントになっている中島健人らのメインに、奥野瑛太、中島歩、木村知貴までもが絡むキャスティングの妙も楽しめる仕上がりに。30年前にフジテレビで放送されたスペシャルドラマで主人公を演じた寺尾聰が遺族役で出演しているのは驚かされるが、偶然にもこのタイミングでの公開は、かなり意義があるものだといえる。
一つ一つ噛みしめて
戦争映画ではありませんが、メッセージ性が強くて、一つ一つ噛みしめながら見る映画です。娯楽作品とは言えませんが見る意味を考えながら物語を追っていくことになります。2時間を超す映画なのですが、エピソードや登場人物の抱える事情などいろいろあって、ちょっと駆け足気味に感じました。こういうテーマならもっと構えて2時間半超でもよかったかもしれませんね。ニノの熱演と北川景子の頼もしさが光りました。個人的に、設定が全く違いますが収容所で少しだけの自由を求める男のお話ということで大島渚監督の『戦場のメリークリスマス』が妙に重なって見えました。