バイオレンスアクション (2022):映画短評
バイオレンスアクション (2022)ライター5人の平均評価: 3.4
漫画を漫画として描くことの妙
原作コミックのバトルの場面を、“ボリュメトリック”なるCGI技術で描写。『マトリックス』ばりのアクションに目を見張り、それだけでアクション好きとしては嬉しくなる。漫画的スタイルの正しき実写化。
しかし何より面白いのは、ヒロインがいかに“ヘンな娘”であるのかの再現だ。殺し屋というヤクザなバイトをこなしながらも、性格はポジティブ。心まで“負”に染まらない天真爛漫さが、橋本環奈の個性からあふれ出る。
他のキャラもインパクトが強く、それぞれ印象に残るが、最強の敵“みちたかくん”の不死身っぷりが味。原作とはイメージが異なるが、城田優が体現するターミネーターのような存在感は原作を突き抜けた。
金髪の狙撃手に注目!
橋本環奈が昼は学生、夜はデリヘルに扮したヒットガールという設定だけで勝ちかと思いきや、冒頭のみで失速していく。その『エンジェル』のような美味しい設定を生かさす、既視感あるヤクザの抗争劇に比重を置いたことで、グダグダ加減が際立つことに。また、組長役の佐藤二朗らによるギャグも空回り気味で、スペシャルドラマならまだしも、『極主夫道 ザ・シネマ』に続き、瑠東東一郎監督の悪いところが出た感アリ。肝心のアクションに関しても、カメラワークと編集頼みで、『ザ・ファブル』ばりな大きな見せ場もなし。そんななか、金髪の狙撃手を演じる太田夢莉が、元NMB48の面影を感じさせない存在感を放ち、★おまけ。
"カワイイ"は最強!
カワイイは最強。カワイイは無敵。橋本環奈が演じる、ピンク色のボブカットの殺し屋のキュートさ、カッコよさを、彼女の周囲のクセの強すぎる人々が際立たせる。身体を使いつつ、映像の編集とリズムで魅せるド派手なアクションは『キック・アス』『キングスマン』直系で、ウィッグのヒロインはヒット・ガールを連想させるが、それについては確信犯なので、登場人物に『キングスマン』の決め台詞を言わせて自己申告している。被写体の動きを、被写体だけでなく空間全体を含めて3次元データとしてキャプチャする撮影技術、ボリュメトリックキャプチャによる映像は、視点がクルクル自在に動き、本作のコミック感覚のアクション演出にぴったり。
ゆるふわ殺し屋橋本環奈VSミソジニスト殺し屋城田優!
『ザ・ファブル』シリーズや『ベイビーわるきゅーれ』など、近年なぜか日本映画で流行している殺し屋映画の最新作。ピンク髪でゆるふわだけど理屈抜きに強い殺し屋の橋本環奈がヤクザたちを殺して殺して殺しまくる。とにかくクルクル動き回る橋本環奈の魅力がすごい。これぞアイドル。血は激しく飛び散るものの、痛みはほとんど感じさせないので、生々しい暴力(バイオレンス)というよりも、ポップでカラフルなアクションを楽しもう。美化された竹内力のように見えるミソジニストの殺し屋、城田優のキャラクターが秀逸。いつか原作と映画会社を超えたファブル=岡田准一とケイ=橋本環奈が対決するような殺し屋映画が観たい。
橋本環奈効果を体感
かなり殺伐とした部分のある話でもあるのですが、橋本環奈の天性のアイドル性&ヒロイン性の高さ&強さによってどこかポップな感じが残る一品です。
『極主夫道』でも腕を振るった瑠東東一郎監督ということで、匙加減が絶妙です。
助演陣でいえば今回は凄味も見せてくれた佐藤二朗と明らかにカラダを大きくしてきた城田優がやはり印象的でした。また、岡村隆史が滑り気味なギャグ担当&ビジュアル出オチキャラかと思いきや後半になるにつれてなかなか良いスパイスになっています。
橋本環奈のアクション路線も見たいので、続編があってもいいのかなと思います。