ビッグバグ (2022):映画短評
ビッグバグ (2022)未来アイテムの美術は『アメリ』な楽しさで、物語の暴走も快感
舞台は2045年で、家庭に何でも言うことを聞いてくれるアンドロイドが完備。よくあるSFの設定も、各ロボの料理や掃除など機能&アイテムがいちいち楽しく、妙なカワイさを加味。過剰なまでの美術のこだわりにジュネ監督作でも『アメリ』の世界が一気に甦る。クローン犬の活躍など極端なデジタル世界にアナログな手触りを優先させるあたりも、この監督らしい。とにかく視覚的に最後まで飽きずに観てしまう。
ストーリー自体はかなりダーク。人間たちをAIが支配していく展開だが、そこもハリウッド作品とはまったく違うフランス映画的ヒネったノリ。迫りくる危機を横目に生々しい人間の営み&関係が優先され、終盤の暴走感も笑いが上回る。
この短評にはネタバレを含んでいます