タミー・フェイの瞳 (2021):映画短評
タミー・フェイの瞳 (2021)演技を「技術点」で数値化できるなら、アカデミー賞にふさわしい
主人公は実在の人物だが、日本では馴染みがない。宗教を広める「伝道師」として、TVスター的な存在になったカリスマなので、こうして映画化されると、その人物を知らなくても過剰なキャラに惹きつけられるのは事実だ。自らの使命が神の意思と同じだという、ある意味、純粋さが起こす暴走。その結果の、宗教と金儲けという深い闇…。一方でタブーとされたエイズの報道にも果敢に挑んだりする主人公の先進性に驚くばかり。
スキャンダラスな内容と、全体のポップで軽妙なノリは、やや違和感を生むが、年代における変化から、歌唱パフォーマンスまで、J・チャステインの変幻自在のテクニックにシンプルに圧倒される。演技の教科書にすべき一作。
この短評にはネタバレを含んでいます