瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと (2022):映画短評
瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと (2022)瀬戸内寂聴の素顔と本音に触れる96分間
昨年11月に99歳で大往生された作家・瀬戸内寂聴と、彼女のエッセイに登場するほど親しい間柄だった中村裕監督の、実に17年に渡る対話を記録したドキュメンタリーである。世間の常識に囚われず、強い者に媚びへつらわず、長いものに巻かれたりすることもなく、常に自分の気持ちに正直に、情熱のおもむくまま生きてきた強い女性だが、しかしその言葉は実に暖かく優しく懐が深い。それは恐らく、彼女が自らの犯した過ちや罪にもしっかりと向き合ってきたからなのではないかと思う。だからこそ他者にも寛大だったのではないか。決して完璧な人ではないし、完璧であろうともしない。そこに人としての魅力を感じる。
この短評にはネタバレを含んでいます