犬も食わねどチャーリーは笑う (2022):映画短評
犬も食わねどチャーリーは笑う (2022)ライター2人の平均評価: 3
言われなきゃ分からない男と察して欲しい女の夫婦バトル
主人公は結婚4年目の平凡な夫婦。新婚時代のようにラブラブではないけれど、それでも夫婦仲は円満だしそれなりに幸せ…と思っているのは実のところ旦那だけ。そんな鈍感で無神経で独善的な旦那への不満を溜めた妻は、チャーリーというハンドルネームでSNSに旦那の悪口を書いて鬱憤を晴らしていたところ、その書き込みに旦那本人が気付いてしまう。要するに、言われなきゃ分からない男性と察して欲しい女性のすれ違いを描いた夫婦喧嘩コメディ。普遍的なテーマだけに共感ポイントも多い作品だが、惜しむらくはユーモアとシリアスのバランスがあまり良くなく、全体的に尺が長く感じられてしまうところだろうか。
普通の夫役でも、圧倒的な存在感を放つ香取慎吾
数年前、話題になった「旦那デスノート」が題材ながらも、市井昌秀監督の優しい人柄ゆえか、ブラックユーモアとしてのインパクトには欠ける。正直“夫婦あるある”の域を出ていない脚本だが、これまで曲者キャラが多かった香取慎吾が、ごく普通の夫を演じることが肝な本作でも、彼が放つ圧倒的な存在感は相変わらず。そのため、彼が演じる夫の奮闘っぷりに加え、妻役の岸井ゆきのを始め、余貴美子や井之脇海、中田青渚などとの掛け合いの妙が、逆に物語を引っ張っていく。後半の披露宴でのスピーチシーンに関しては、さすがの一言だ。また、ネバヤンの主題歌&ヴォーカル安部による劇伴も、いい味付けになっている。