ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言 (2020):映画短評
ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言 (2020)戦争の、虐殺の責任は、黙認した国民にもある
ナチス時代を生きたドイツ市民に対し、意図的に、もしくは図らずもホロコーストに加担した責任について、監督は問いかける。暴力のない『ゆきゆきて、神軍』というべきか、その冷徹さに唸らされる。
責任を感じている者には踏み込まないし、感じていない者には多角度から質問を試みる。ユダヤをルーツに持つ監督にとって、そこは譲れない一線だった。そして、それこそが本作のブレない芯となる。
この監督が正しいことをしたのかどうかは正直わからない。しかし、過去に犯した戦争の罪に対して、今を生きる国民がどのように歴史を受け止め、どんな責任を抱くべきか? それを考えさせるうえで、本作は文句なしに力作である。
この短評にはネタバレを含んでいます