THE FIRST SLAM DUNK (2022):映画短評
THE FIRST SLAM DUNK (2022)ライター4人の平均評価: 4.3
オープニングからの高揚感がヤバい!
線画から色付けされる湘北メンバーが横並びで歩くオープニング。そこにThe Birthdayが流れる相乗効果もあり、まるで山王に乗り込んでいくような『クローズZERO』な高揚感がヤバい! その後の劇伴もエンディング曲提供の10-FEET(TAKUMA)が担当しているだけに、ビーイング系だったTVアニメ版に比べ、かなり硬派な印象だ。もちろん安西先生の名言も登場する山王戦の裏で語られるのは、「ピアス」要素も入った宮城リョータの過去。後半まで引っ張りすぎた感は否めないが、とにかく作画含め、東映アニメーションらしくなさも魅力的な意欲作。原作読破とまでは言わないが、主要キャラ程度は押さえてから観るべし!
原作者にしかなし得ない名作の再構築
とにかく脚本・監督・キャラクターデザイン・作画監督を務めた原作者・井上雄彦にしかなし得ないストーリーの再構築ぶりに驚かされる。湘北のポイントガード・宮城リョータの物語とともに綴られる名勝負中の名勝負、山王戦の興奮と歓喜に震えっぱなし。あのカッコいい絵がずっと動き続けるのがシンプルにすごいのだが、単なるカッコいい名場面集にとどまらず、大きな壁や窮地を乗り越えるには、涙と泥にまみれた過去と情念が力になることを描ききっているのが素晴らしい。原作は必ず読んでから劇場に出向くこと。
最高か!!!
現時点だと主にTVアニメ版に親しんだ方々から賛否が出るのかもしれないが、きっとしばらく時が経てば「不動の名作」との評価に固まっていくのではないか。『バガボンド』や『リアル』等を経た現在の井上雄彦先生による“『シン・スラムダンク』”として、もう全編感涙しかなかった!というのが筆者の率直な感想だ。
沖縄から始まる宮城リョータの物語。まるで実在した名勝負かのように語り継がれている山王戦。リアルタイプのアニメーションも、まさに実写的アプローチの迫力で「劇場用映画」の醍醐味を伝える。個人的にはOPでThe Birthdayが流れた時、『青い春』のミッシェル・ガン・エレファントが脳裏に甦って震えた。
創造主のメスの痕跡を追う
原作どストライクな元バスケ部員なので、ちゃんと盛り上がりました。原作は一章ごとにボリュームがあり、何を選ぶにしても映画の枠に納めるには取捨選択をせざるを得ません。まさに聖域にメスを入れる様なことなので原作者が監督・脚本を務めなければもっと反発を産んでしまったかも。ただ、これは基礎知識がある人間の言い分であり、これまさしく”FIRST”であった人はどう受け取ったか?あらすじ無し、チラシ無し、土曜初日。現行の公開体制に一石を投じていることも併せて一つでも多くの意見が聞きたいところです。