ザ・ディープ・ハウス (2021):映画短評
ザ・ディープ・ハウス (2021)ライター3人の平均評価: 3.7
水没した屋敷の暗闇に潜む恐怖!
世界中の廃墟をレポートしているユーチューバーの男女カップルが、何十年も前に水没したフランスの古い一軒家を取材するため湖底へ潜ったところ、そこで想像を絶するような恐怖と遭遇する。いやあ、これは海洋恐怖症や水中人工物恐怖症の人にとってはまさに悪夢のような映画かもしれませんな。湖底に潜ってからの60分がほぼリアルタイム進行で、水中に打ち捨てられた屋敷に住んでいた家族の恐ろしい秘密が徐々に明らかとなっていく過程もなかなかゾッとする。もうちょっと派手なショック演出やゴア描写があれば更に盛り上がったとは思うが、こういう真綿で首を絞めるようにジワジワと煽られる恐怖も悪くない。
悪霊に遭う! YouTuber決死のダイビング
『屋敷女』のモーリー&バスティロ監督が、またも屋敷を舞台にして恐怖談を放つ。ただし、今度の舞台は湖底に沈んだお屋敷だ。
刺激的な映像を撮るために水中に潜ったYouTuberカップル(このふたりのパワーバランスが面白い!)の無謀という現代的なテーマに、監督コンビの前作『呪術召喚/カンディシャ』にも似た幽霊騒動が融合。水中の息苦しさが増していくクライマックスまで目が離せない。
監督コンビの特色である絶望の突き詰めは本作でも生きており、安直なハッピーエンドに逃げない潔さ。エンドクレジット後のダメ押しに、ニヤリ。
水中の事故物件中継
『海底47m』の二番煎じ感もあるが、主人公がYouTuberカップルで、水中の恐怖の対象がサメどころか、事故物件な幽霊屋敷というところでアイデア勝ち。北米での配給権をブラムハウス・プロダクションが取得したのも納得の分かりやすさだ。B級ノリを感じさせない導入部に、マジで息詰まる展開、ラブクラフトのオマージュなど、やりたいことは分かるが、正直何が起きてるのか分かりにくい水中カットが多い。『レザーフェイス―悪魔のいけにえ』ではプロデューサーにエンディングを変更させられるというハリウッドのキッツイ洗礼を受けた監督コンビ、起死回生の一本といえるが、デビュー作『屋敷女』のような衝撃度はかなり希薄。