ダウントン・アビー/新たなる時代へ (2022):映画短評
ダウントン・アビー/新たなる時代へ (2022)ライター2人の平均評価: 4
ファンの見たいものを見せてくれる、あるべき劇場版
TVシリーズのファンが見たいものをたっぷり見せてくれる、という意味でまさにあるべき劇場版。作品の大きなテーマは、映画のサブタイトルで宣言され、それを象徴する出来事はいくつも起きるが、それはそれとして、ファンが見たいものは別のところにある。
TVシリーズでよく知っている人々と、映画前作で登場した人々が、まんべんなくスクリーンに現れて、ストーリー展開にはまったく貢献しなくても、ちょっとした会話や行動をして「ああ、この人らしいなぁ」と思わせてくれる。これこそ、ファンの見たいもの。そのうえ、シリーズの大団円に相応しく、誰も彼もがみな幸福になる。そしてファンを幸福な気持ちにしてくれる。
ファンならば大満足
2019年の映画同様、今作もテレビシリーズのファンのために作られたもの。大勢の登場人物にはそれぞれに歴史があり、それをずっと見つめてきたからこその感動があるのだ。大好きなキャラクターたちが、いろいろあった末に愛し合って幸せそうにしている様子を見るだけで微笑んでしまう。今回は屋敷が映画のロケに使われることになるという設定で、トーキーへの過渡期の撮影現場の様子が見られるのも興味深い。舞台には南仏も加わって、ビジュアル面でこれまでと変化がついた。ストーリーはミステリーもあり、悲しみもあり。でも最後はちゃんと温かい気持ちにさせてくれる。このシリーズにはまだまだ続いてほしい。