終末の探偵 (2022):映画短評
終末の探偵 (2022)日本社会の閉鎖性を浮き彫りにする骨太なネオノワール
喫茶店の2階に事務所を構える冴えない私立探偵が、地元ヤクザと新興チャイニーズ・マフィアの抗争に巻き込まれつつ、フィリピン人の両親を強制送還された女性から友人探しの依頼を受ける。舞台は少子高齢化によって元からの住民が減少し、代わりに多くの外国人が流入して多民族化した地域の繁華街。そこで起きる様々な事件や衝突を通して、衰退の一途を辿る日本社会の根深い排他性や在日外国人へ向けられる偏見・憎悪が浮き彫りになっていく。やさぐれてはいるものの人間味のある私立探偵を演じる北村有起哉ははまり役だし、アジアン風味のハードボイルドタッチもクール。骨のある社会派ネオノワールだ。
この短評にはネタバレを含んでいます