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世界は僕らに気づかない (2022):映画短評

世界は僕らに気づかない (2022)

2023年1月13日公開 112分

世界は僕らに気づかない
(C) 「世界は僕らに気づかない」製作委員会

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3

くれい響

複雑に絡み合う“生きづらさ”

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

群馬県でフィリピンパブで働く母親とLGBTの高校生の息子。そこに母の再婚問題や行方不明の実父を探し出すエピソード、さらに『そばかす』でも扱われたアセクシュアルな女子が絡んでいく。いくらでもヘヴィな展開になりそうなテーマを扱った社会派ドラマだが、『フタリノセカイ』の飯塚花笑監督らしい優しさとユーモアが絶妙なスパイスに。テーマを絞った前作と比べると、盛り込み感がハンパなく、30分以上も長尺になったのも頷けるところだ。“生きづらさ”を体現する主人公を演じる堀家一希は、『東京リベンジャーズ』のパーちんと同一人物に見えないほど、自然すぎる芝居を魅せており、今後要注目の逸材といえるだろう。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

同性パートナーシップを高校生が望む…は「常識」で主軸は別に

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

主人公の高校生はゲイで、同級生に恋人もいる。ひと昔前なら、このあたりの葛藤や苦悩に深くフォーカスするスタイルが予想されたが、そこを作り手が「当然」と伝えている印象。まだ若い彼らが自治体のパートナップシップ宣誓制度を、日常目線で考えている姿はちょっと未来的でもあり、映画が一歩先の希望を提示する、そんな清冽な勇気を感じさせる。
一方で、会ったことのない実父を探すエピソード、外国人労働者でシングルマザーの母の日常、親ガチャなどで、現代社会の抱える多くの問題を盛り込み、激しい感情表現も使って、わかりやすく伝えられる。
その不思議なバランス感で、まったく新しいインプレッションを届ける一作になったかと。

この短評にはネタバレを含んでいます
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