離ればなれになっても (2020):映画短評
離ればなれになっても (2020)古き良きイタリア映画の伝統を受け継ぐ暖かな人生賛歌
ずばり、これはガブリエレ・ムッチーノ版『あんなに愛しあったのに』である。エットーレ・スコラの名作が、男女3人の友情と恋愛を通して戦中・戦後の激動するイタリアの歩みを描いたのに対し、本作では冷戦終結や9.11など急速に変化する時代の世相を背景に、まだ思春期だった’80年代に知り合った男女4人による、涙あり笑いありの人生が綴られる。デ・シーカやジェルミに代表される「イタリア式コメディ」の伝統を受け継ぐロマンティックな抒情性、往年のトロヴァヨーリを彷彿とさせるニコラ・ピオヴァーニのノスタルジックな音楽スコアなど、古き良きイタリア映画の魅力を今に甦らせた佳作。特に50代以上の大人にはたまらない。
この短評にはネタバレを含んでいます