二十歳の息子 (2022):映画短評
二十歳の息子 (2022)普通という色眼鏡を外して見つめる普通ではない家族の形
児童養護施設や里親のもとで育った複雑な生い立ちの20歳の若者と、その自立支援にボランティアとして携わってきた40歳のゲイ男性。あるきっかけから養子縁組を結んで、親子となった彼らの共同生活を捉えたドキュメンタリーである。言わば、どちらも日本社会における既存の「家族」の枠組みからはみ出した存在。そんな彼らの不思議な関係性もまた、一般的な「親子」や「家族」の概念とだいぶ異なる。本作がユニークなのは、そこへの理解を見る者に全く求めていないところだろう。他人が理解しようとしまいと、彼らはすでにそこに存在して新たな家族の形を模索している。観客がするべきは、「普通」という色眼鏡を外すことだけだ。
この短評にはネタバレを含んでいます