魔女の香水 (2023):映画短評
魔女の香水 (2023)ライター2人の平均評価: 2.5
昭和の少女マンガでもあるまいし。
調香師・黒木瞳に出会った派遣OL桜井比奈子が、男性上司の嫉妬によりクビになり、起業するまでの成り行きは興味深い。匂い、という映画で表現し難いものにも挑戦しているし。だがそこから先の展開がパッとしない。起業するための資金はどう調達したのか?起業後のスポンサーとの関係は?等々これらの点が謎のまま。この映画は働く女性経営者のための起業支援会社が製作に関わっているらしく、そこんとこもう少し丁寧に描かれるべきではないだろうか。ロマンスのお相手・平岡祐太の扱いなど噴飯ものだ。ただし桜井比奈子の演技力が以前と比べ格段に成長した様子を見るべき価値はある。相変わらず落合モトキのキャラクターもクセあり。
本質は世代を超えて連帯する女性たちのドラマ
夢や希望を持ちたくても持てない派遣社員のヒロインが、魔女と呼ばれる香水店オーナーの調合する香りに勇気づけられ、自らも「香りで誰かを救いたい」と香水の奥深い世界に足を踏み入れる。いまだに男尊女卑が根強く、パワハラやセクハラがまかり通り、出る杭はコテンパンに打たれてしまう日本社会で、人生を切り拓くために女性同士が世代を超えて連帯していく物語。非常にタイムリーな題材ではあるものの、その一方で「えっ?」と思うような古色蒼然としたジェンダー観が所々にぶち込まれるので油断ならない。現代日本に生きる若い女性のリアルを切り取ったお仕事ドラマと、ベタで古典的なメロドラマの咬み合わせの微妙さも惜しまれる。