ニューヨークの中国女 (1968):映画短評
ニューヨークの中国女 (1968)ハリウッドへの悪罵も愛憎半ば。
『中国女』の米公開にあたり、ゴダールがNY大学で講演した一夜の記録(偶然にもキング牧師暗殺の夜だったらしい)。学生たちの質問に答える言葉はかなり興味深く、これ以降のゴダール映画の世界観の端緒として重要な言葉も含まれている(五月革命前夜でもあるし)。「自分の撮っているのは、現実世界と、あるべき世界の中間を描く運動である」とか「ハリウッドに原作ものを頼まれたら、その本そのものを撮るよ」とか「私はラッシュを見せているのかもしれない、後は観客の編集に委ねるんだ」とか。まだ理論ガチガチになる前のゴダールがけっこう愛らしい(笑)。ペネベイカーによる編集が、時にゴダール流を模倣するのもまた一興。
この短評にはネタバレを含んでいます