ゴーストバスターズ/フローズン・サマー (2024):映画短評
ゴーストバスターズ/フローズン・サマー (2024)ライター5人の平均評価: 3.4
アウェーからホームへ!
前作『~アフターライフ』のジュブナイル性を維持しつつ、舞台をバスターズの本拠地ニューヨークに移す。このアイデアが、まずうまい。
元祖バスターズの結集はもちろん、その拠点となる旧消防署、縁の地やキャラなどの再登場は、言うまでもなくファンには嬉しい。一方で、まだ子どもであるヒロインの大人社会との格闘にも目を引かれる。主演のM・グレイスは今回も好演で、繊細な青春ドラマの部分をしっかり背負って立つ。
NYが舞台となったことによりパニックスペクタクルの規模が大きくなったことも見逃せない。海洋から都市部へと氷結が進行し、尖った氷柱が次々と突き出る天変地異描写は独創的で面白い。
この作品らしい、あふれるサービス精神
前作『アフターライフ』では、新展開の設定としてストーリーの流れもスムーズ。ある意味、“ゴーストバスターズらしからぬ”正統なエンタメという印象だった。今回は、あれやこれやのエピソードでサービス精神が旺盛。おもちゃ箱のような賑やかさで“らしい”ノリと言える。キャストたちは楽しそうに動き回るし、懐かしメンバーの集結も微笑ましい。マシュマロたちは前回同様、かわいいアクセント。
ただし1本の映画として氷を溶かすほど熱く燃える芯が不在な印象で、評価は冷静に。
最もエモーショナルな部分は、ティーンエイジャーのレズビアンストーリー。難しいとは思うが、ここをもう少し掘り下げてくれてたら独自の輝きが残った気も。
ドラマもキャラもたっぷり山盛り
あれもこれもを大量投入。ストーリーは、地球に氷河期をもたらす力を持つゴーストとの対決に、事情があって孤立する末っ子フィービーとゴーストの少女の交流、元教師ゲイリーと一家の微妙な関係のドラマも。登場人物も、前作のポッドキャストやラッキーも再び登場、旧ゴーストバスターズの面々が勢揃するうえに市長まで。さらにおなじみの人気ゴーストたちも再登場する山盛りぶりだ。
中でももっとも増量されたのは、ギャグと笑いの量だろう。舞台を旧作2作のニューヨークに戻すだけでなく、旧2作のどこかとぼけた雰囲気に挑戦。お笑いパートには、クメイル・ナンジアニとパットン・オズワルト演じる新キャラもプラスされている。
前作のコレジャナイ感を一気に払拭!
舞台をニューヨークへと移し、前作のコレジャナイ感を一気に払拭。マッケンナ・グレイス演じるフィービーを軸に、同世代ゴーストとの友情物語や義父をめぐる家族の話といった『モンスター・ハウス』のギル・キーナン監督作らしい新展開に加え、まさかのジャニーン(アニー・ポッツ)大活躍といったファンサも忘れず! なかなか“フローズン・サマー”にならない展開や新旧バスターズ以外の主要キャラ渋滞、ラスボス微妙すぎ問題など、気になる点は少なくない。とはいえ、とりあえず「主題歌流せばOKっしょ!」感は健在。どんどんシリーズ化する勢いも感じるので、割り切って温かく見守りたいものだ。
ジュブナイルテイストバージョン
ジェイソン・ライトマンが仕切る”正統ネクストジェネレーション”第2弾。前作でオリジナルへのリスペクトとファンサービスは済ませているので、今回は大きく舵を切って家族とティーンエイジャーの成長譚になりました。思えば即興的な笑いが中心のシリーズだったので、こういうドラマ性が盛り込まれるのはなかなか新鮮です。舞台がお膝元のニューヨークになっているのも当たり前と言えば当たり前ですがしっくりきます。もちろん顔を出してくれるオリジナルの面々も楽しそうにしてるので嬉しくなります。そしてあのレイ・パーカー・ジュニアのメイン―マーはやはり偉大です。