VESPER/ヴェスパー (2022):映画短評
VESPER/ヴェスパー (2022)リトアニアの寒い森の静かな異世界が美しい
クリスティーナ・ブオジーテ監督の出身地、リトアニアの寒い森で撮影され、実在するものに、奇妙な形の植物や人間の意識と接合したドローンなどの小さな何かを加えて出現させる異世界は、おとぎ話にもつながっている。そんな森を、一見少女か少年か判別不能な、大人でも子供でもない主人公が、自在に動き回る。
ディストピアで生きる主人公がその状況を変えようとするのは定番だが、この映画の「世界を救う方法」がすばらしく、その時、画面に映し出される光景がいい。それが、監督コンビ、K・ブオジーテとブルーノ・サンぺルの、今はただのディストピア映画を描いている場合ではないという強い意志を感じさせる。
この短評にはネタバレを含んでいます