パリ・ブレスト ~夢をかなえたスイーツ~ (2023):映画短評
パリ・ブレスト ~夢をかなえたスイーツ~ (2023)実在する有名パティシエの決して甘くないサクセス・ストーリー
アラブ系フランス人の有名パティシエ、サジッド・イシュムラエンの半生を描いたサクセス・ストーリー。人種差別に貧困に複雑な家庭環境にと、生まれた時から本人の力だけではどうにもならないハンデを背負った主人公が、夢を叶えるためなら手段を選ばぬ覚悟で人生を切り拓いていく。見るからに華やかで美味しそうな高級スイーツが全編をカラフルに彩る作品だが、しかしみんなと同じスタート地点にすら立てない若者の成り上がりドラマは決して甘くない。良き母親になりたくても境遇がそれを許さず、己の無力感に苛まれる主人公の母親の苦悩にも思わず涙。それだけに、努力が実を結ぶハッピーエンドには感無量である。
この短評にはネタバレを含んでいます