デッドプール&ウルヴァリン (2024):映画短評
デッドプール&ウルヴァリン (2024)ライター5人の平均評価: 4.6
全部追えなくても満足のサービス精神。買収劇の意外な効果とは?
内容の充実度は規格外。デッドプールのセリフ量&スピードも前2作を超えてる印象で、ゆえにすべてを理解して消化するのは至難。ただ、半分くらいわかれば十分に楽しいのも事実。映画とはそんなもの、とデップーがほくそ笑む。
セリフではMCUのマルチバースを批判しながら、作品自体はマルチバースに頼ってる…というのもデップーらしい。「グリース」やマドンナといった音楽との相性は前2作以上に萌え。
「忘れられたヒーロー」への賛辞で強度な感動を誘いつつ、MCUとのリンクが濃くなるにつれ、そうなると単独でこそ輝いたデップーの魅力が減っていくのか…と一抹の寂しさも。そこにディズニーのフォックス買収の真の側面を実感した。
まさかあのキャラが!? のサプライズは予想以上
実は"旧FOX系マーベル映画とMCUの融合"という重要な役割を担う作品だが、その大仕事を従来のデッドプールの世界を微塵も変えることなく実現したところが胸アツ。この役割に絡んで、前2作以上に、現実の出来事を踏まえたメタなギャグが増えているのも楽しい。ウルヴァリンのシリアスな魅力を活かす匙加減も絶妙。コミックそっくりのポーズなど、コミックファンへの目配せも怠りない。
予告編からカメオ出演の大量さは予想していたが、まさかこのキャラが!? というキャラが何人も登場、こういうサプライズでファンを喜ばせるところも、すでにきっちりMCU流。これらの噂を流させずに実現したマーベルの秘密保持能力にも脱帽。
嬉しくて楽しい
ディズニーにお招きいただき。買収劇で行方が不明瞭だった”FOXのマーベル”をMCUに合流させるために白羽の矢が立ったのは何とデッドプール、しかもまさかのウルヴァリンを連れてと…。これだけでも楽しい映画になりそうですが、流石は”デッドプールのシリーズ”なだけであってR15的なアクションと笑いがたっぷり込められた痛快な逸品に仕上がりました。細かくはネタバレになるので言えないのですが嬉しいサプライズに満ちていました。シンプルにヒーローの暴走的な活躍を楽しむだけでもいいですし、あちこちのポイントでニヤリとするのでもよいという色々な楽しみ方できる映画です。
最初から最後まで笑いっぱなしだった
最初から最後までほぼノンストップで笑わせてもらった。出演者の私生活、業界事情、マーベルやディズニーをネタにした自虐的ジョークも多く、それらを一緒に笑えるスタジオや出演者の度量の大きさに拍手。そしてカメオが凄い。意外な人ばかりで、誰かが出てくるたびにあっと声を上げてしまった。ジョークやカメオが全部ピンと来なかったにしても、冒頭のデッドプールのダンスやアクションをはじめ、見るからに可笑しいシーンがたっぷりなので楽しめるはず。ライアン・レイノルズのせりふ回しのタイミングは今回も絶妙なら、新たに参加したマシュー・マクファディンもすばらしい。楽しくエネルギーに満ちた夏のエンタメ映画。
非MCUのマーベル映画に愛をこめて
ついにMCUに組み込まれるデッドプール。そこにウルヴァリンまでついてくるのだから嬉しくなる。
この両雄を、いかにして遭遇させるかはマルチバース設定で対処。混乱を呼ぶと評されることもあるマルチバースに毒づくデップーらしい悪態も健在で、そればかりかグロもエロも付いてくる。ディズニーに移籍しても変わらないシリーズの毒気に加え、両雄バトルも迫力があり、見入ってしまう。
『デッドプール』と同様に非MCUだったマーベル作品への目配せも嬉しく、X-MENやファンタスティック・フォーなどなど旧20世紀フォックスが生んだヒーローへのオマージュにグッときた。