時々、私は考える (2023):映画短評
時々、私は考える (2023)主人公が夢想する静謐な世界が美しい
人とうまく接することができない主人公が陥る、夢想の情景が美しい。彼女は無意識のうちに、自分が生きていないのと同じ状態だと感じているので、彼女の脳裏には、しばしば自分が死んでいる風景が浮かび上がってくる。そこは森の中だったり、海辺だったりするが、いつも静謐で、落ち着いた色調が美しく、時間が止まっている。その世界の空気は日常生活にも浸み出していて、彼女はその静かさを乱さないように暮らしている。
そんな彼女が、ある出来事により、他人と接するための努力を始める。それを阻むのは、彼女自身がずっと隠してきた深い傷だということも分かる。それでも歩もうとする彼女の姿が静かな映像で描かれて胸を打つ。
この短評にはネタバレを含んでいます