グランメゾン・パリ (2024):映画短評
グランメゾン・パリ (2024)ライター2人の平均評価: 4
皆で夢を追う、そこに必要なものは?
TVシリーズを体験しないまま観たが、それでも楽しめたのは、ともに夢を追うことの熱という普遍的なテーマが物語を動かしているから。
正直、チーム意識の低い主人公の前半の不機嫌ぶりにはイライラさせられるが、風向きが変わってからはどんどんアツさを増していく。厨房という狭い場所でのアクション映画のようなスピード感が、それを加速させているのは間違いない。
パリのロケも効果的で、ストリートや市場の生き生きとした描写がキャラクターに血を通わせる。ギャングの描写はやり過ぎの気もするが、正攻法の娯楽作であることを思えば許容範囲。
2024年の追尾を飾るゴージャスな一本
目下絶好調の塚原あゆ子監督と脚本家黒岩勉のコンビがドラマシリーズから続投。この二人のおかげでフランス・パリを舞台に日本人シェフがフランス料理でミシュランの三つ星獲得を目指すという一歩間違えると恐ろしく空虚な物語になりかねないところ絶妙な肉付けをして、とてもゴージャスな一本に仕上げました。
もう一つの主人公とも言うべき肝心の料理ですがアジア人初となるフランスの三つ星を獲得した”RestaurantKEI”の小林圭シェフが映画の料理監修を務めたことで、見事な説得力を持たせました。2024年12月30日公開という本当に今年の追尾を飾る一本です。