リッチランド (2023):映画短評
リッチランド (2023)“愛するホームタウン”の「特殊」と「普通」について
米東海岸の典型的なサバービアに見える閑静で美しい街リッチランドは、マンハッタン計画の際に政府が作った原子力タウンだ。キノコ雲とB29という「戦勝国」のシンボルが散見されるが、住民たちは当然にも穏やかで寛容で善良な人々である(ちなみにシャロン・テートも一時期住んでおり16歳の時“ミス・リッチランド”になった)。
監督のI・ルスティックが捉えるのは、幸福と疑問、誇りと嫌悪が曖昧に手を取り合っている共同体の“平和な日常”だ。我々庶民は「政治」や「環境」をこの様に受容する(せざるを得ない)というサンプルケースとも言えるのではないか。『オッペンハイマー』『関心領域』に続けて観ると三部作の如く刺さる。
この短評にはネタバレを含んでいます