人体の構造について (2022):映画短評
人体の構造について (2022)人間も結局は「モノ」である
人類学者でもある奇才映像作家コンビ、L・C=テイラーとV·パラベルだけあり、『はたらく細胞』のような図解系にはならない。『リヴァイアサン』(04年)では魚やカモメの視点で人間中心主義から逸脱し、前衛的な映像詩のアプローチで漁船漁業を捉えた彼らが、今作では「医師の眼」で我々の肉体の中身を探索/分解する。
よく人体の内部は神秘的な宇宙に喩えられるが、マイクロカメラの接写が映すそれはどこまでも即物的。血まみれの洞窟や通路のようだ。生きている間の空騒ぎの様な最後のパーティーの場面――ニュー・オーダーの「ブルー・マンデー」がフルに近いほどの長さで流れ、壁の人骨画が明滅するトランシーな幕切れも印象的。
この短評にはネタバレを含んでいます