ファウンダーズデイ/殺戮選挙 (2023):映画短評
ファウンダーズデイ/殺戮選挙 (2023)ライター2人の平均評価: 3
地味だが良質な王道系スラッシャー映画
300回目の創立記念日を目前に控えた田舎町で覆面の連続殺人鬼が暗躍し、町長選を巡って対立する両陣営の関係者がひとりまたひとりと殺されていく。『13日の金曜日』に代表される’80年代のアニバーサリー系スラッシャー映画(特に『ローズマリー』とか『プロムナイト』とか)のフォーマットを応用しつつ、連続猟奇殺人の恐怖とパニックを通じて、外観だけは美しい田舎町のドロドロとした醜い実態を炙り出す作品。基本は現代アメリカ社会の偽善を風刺したブラック・コメディで、その切り口にあまり新鮮味がないところは惜しまれるものの、とりあえず王道スタイルの良質なスラッシャー映画に仕上がっているのは嬉しい。
選挙をしてる場合じゃない!? 田舎町の血まみれ狂騒
町長選挙と祭で賑わう田舎またを舞台に、仮面の殺人鬼が暗躍。スラッシャーホラーの教則を踏まえたつくりだが、これが一筋縄では収まらない。
判事の恰好をした殺人鬼の異様さは不気味だし、惨殺描写も多めで、その筋のファンには満足がいくもの。そこに政治的なメッセージやブラックユーモア、愛憎模様、学園ドラマのエッセンスが絡み、意外なクライマックスへと展開する。
詰め込み過ぎの気がしないでもないが、ティーンの日常の描写には『スクリーム』にも似たポップな味わいが。SNS画面を通じたやりとりの描写も、本作ではモダンなものとして生きている。