ボビー・チャールズ 極楽の歌 (2024):映画短評
ボビー・チャールズ 極楽の歌 (2024)旅の始まりと終わりはルイジアナだった
『ラスト・ワルツ』の出演者なのに映画にはほぼ映っていない――それがボビー・チャールズだが、実は彼自らスコセッシに直訴して画面に映る事を拒否したと本作で初めて知った。フォレスト・ガンプに喩える証言もあるように、50sのチェスレコード(R&R創世記)からウッドストック界隈、近年のアメリカーナ再評価まで裏面史の重要人物として存在感を放つソングライターの魅力に迫る貴重な一本。
最後は地元ルイジアナに戻ってきたボビーがケイジャン(同州の仏系移民)である事が興味深い。基本的には「栄光なき天才たち」に属する様な人物像を紹介するオーラルヒストリー型だが、音楽的ルーツを掘る視座がもっと深ければさらに良かった。
この短評にはネタバレを含んでいます