神は銃弾 (2023):映画短評
神は銃弾 (2023)普通の男が少しずつ暴力に染まっていく
暴力、暴力、暴力。暴力がこれでもかと続き、その暴力による激痛も描かれる。原作は『その犬の歩むところ』『音もなく少女は』のノワール作家ボストン・テランの『神は銃弾』。ニック・カサヴェテス監督は、この原作の映画化には徹底的な暴力描写が必要だと考えたに違いなく、特にラスト、夜の大人数による肉団戦は苛烈。映画が長尺なのは、普通の男である主人公が次第に暴力に染まっていく過程を、じっくり描くためだろう。
カルト集団に娘を誘拐された男の復讐劇の中、マイカ・モンロー演じる、彼に協力する元カルト集団のメンバー、ケースが魅力的。ボロボロになりながら、暴力と騙し合いの中を生き抜いていく姿が鮮烈な印象を残す。
この短評にはネタバレを含んでいます