セカンドステップ 僕らの人生第2章 (2024):映画短評
セカンドステップ 僕らの人生第2章 (2024)ライター2人の平均評価: 3
カサヴェテス・オマージュなどから醸し出される70`sテイスト
シニカルな笑いが肝となる、いかにもジェイソン・シュワルツマン主演作(ルックス的には、ほぼスティーヴ・カレル!)。七十路になっても相変わらずキュートなキャロル・ケインの絡みは、映画ファンの心をくすぐるが、終盤の食卓シーンのまんま『こわれゆく女』な会話劇やカメラワークなど、ジョン・カサヴェテス監督オマージュにより、70`sテイストが炸裂。原題が示すように、ユダヤ教が大きなテーマになっているため、予備知識が必要かもしれないが、サンダンスやベルリン映画祭で話題になったのも頷ける一本。ただ、ネイサン・シルヴァー監督が一躍注目された『エレナ出口』ほどのクセはない。
登場人物はみんな個性豊かでしっかり描かれている
子供の時から得意だった歌を失い、人生でずっと信じてきた宗教にも疑問を持つようになった主人公ベン。映画のはじめのほうのキリスト教の神父に話をするシーンはとりわけ興味深い。そんな折りに子供時代の音楽の先生カーラに再会し、孫のいる年齢の彼女が今さらユダヤ教の成人式をしたいと言い出して、ベンの人生が少しずつ変わっていく。観た人みんなが納得するストーリーではないだろうが、人生は何がきっかけでどうなっていくのかわからないということ。レズビアンの母、彼女のためにユダヤ教に改宗したパートナーの女性、ゴルフ好きのラビ(聖職者)、カーラの息子など、登場人物はみんな個性豊かでしっかりと描かれている。