セプテンバー5 (2024):映画短評
セプテンバー5 (2024)異様な集中力とテンションで95分を突っ走る
大作はもちろん賞レースに絡む作品も軒並み上映時間が長めの中、本作の95分はあまりに潔い。しかも余計なエピソードを徹底して排除。そこで起こっていること=五輪の人質事件を報道するスタジオの混乱、に集中する。カメラはまるでスタジオのスタッフのごとくの視点で誰かの声に反応し、それを繋ぐ編集も上出来。演出の流れでここまで没入できるとは! そうなると映っていない「現場」への想像力も十分にはたらく。これこそ映画。
1972年の実際の映像もうまく機能。そしてアメリカのテレビ現場でありながら、ドイツ人翻訳家、しかも女性が重要な役割を任されたことで特別なカタルシスがもたらされた。今の時代に訴えるメッセージも鋭い。
この短評にはネタバレを含んでいます