ジェリーの災難 (2023):映画短評
ジェリーの災難 (2023)
実際に起きた事件を当事者の主演で描いた異色作
マイアミで年金生活を送る平凡な台湾系米国人の老人へかかった一本の電話。中国の公安警察を名乗る相手は「あなたの銀行口座が犯罪に使われています」「共犯の容疑を晴らしたければ我々に協力してください」「他言すれば機密情報の漏洩で逮捕されます」と脅し、すっかり信じ込んでしまった老人は財産を根こそぎ奪い取られる…という、昨今の日本でも起きている詐欺事件と全く同じ出来事が描かれるのだが、本作がユニークなのは被害者本人とその家族が自分たち自身を演じた実話の映画化ということ。いわゆるドキュドラマの新形態。アメリカン・ドリームを追い求めた移民の、老後に待ち受けたまさかの末路としても考えさせられるものがある。
この短評にはネタバレを含んでいます