白雪姫 (2025):映画短評
白雪姫 (2025)
ライター3人の平均評価: 3.3
2025年にアップデートするとこうなるのが必然か
2025年に白雪姫をライブアクション映画化すると、こうなるのだろう。主演女優や7人のこびとについては公開前から散々言われたが、そこに限らず全てにおいてアップデートされている。白雪姫はこびとの家を掃除してあげず彼らにやらせ、王子様にキスされて解決でもない(そもそも今回は『王子様』でもない)。メッセージ性が強いだけに、最初から結末が読める。だが、今、1937年版と同じ話を語るという選択肢はないし(それをやれば批判される)、これはこれで悪くない。新曲は良いものの、映画を超えて愛される名曲になるものはなし。女優たちは頑張っているが、特に女王のキャラクターは薄く書かれているので限界がある。
苦心の末に、ちょうど適度な具合に落ち着いた仕上がり
不安と期待、両方を抱きながら観ると、ちょうどいいポジションに落ち着いた感覚。1937年版からの改変部分は現代の映画として納得だし、何よりミュージカル映画として冒頭の“つかみ”の盛り上がり、全体の美しい構成に、マーク・ウェブ監督の職人芸を再認識。『(500)日のサマー』でのディズニー・ミュージカルへのオマージュ=青い鳥を思い出し嬉しくなる。
CGによる7人のこびとも違和感はすぐに消えて世界に馴染み、新曲はサビが耳に残るし、クラシックの2曲と地続きのメロディ。
ただし「あえて実写に」の理由を求めれば、もっと大胆なチャレンジも見たかった。ディズニー伝統をリスペクトする人には全体に好印象だろうけど。
ディズニーアニメ仕様の小動物たちも愛らしい
色彩も造形も、画面の端までおとぎ話様式で魅了する。そのうえで、なるほどこれも不可欠だったと目からウロコなのは、小動物たち。冒頭からハリネズミ、ウサギ、子鹿、小鳥たちが、動きだけでなく、造形もディズニーアニメの小動物仕様で、言葉は話さず、たっぷり感情を表して、大きな役割を果たす。
ヴィジュアルは名作アニメを意識し、白雪姫や妃の衣装を筆頭に、森の樹木の形、7人のこびとの行進の影などオマージュをたっぷり盛り込み、音楽には誰もが知る名曲も使いつつ、ストーリーは思いっきり現代的に脚色。この物語に欠かせない象徴的シーンは省略しないが、別の角度から焦点を当てる。古典への敬意と現代的感覚の融合が絶妙。