アバウト・ライフ 幸せの選択肢 (2023):映画短評
アバウト・ライフ 幸せの選択肢 (2023)ライター2人の平均評価: 3
キャストとテーマは良いのだが
何度も書いてきたが、ロマコメはラストが見えているので、観客にキャラクターに思い入れさせ、そこまでの過程を楽しめるようにさせることが大事。それは今作のように登場人物が大人であっても同じ。だが、この映画はキャラクターが薄っぺらく、トーンもコメディとドラマ、どっちつかずで、テンポも良くない。結婚というものを違う角度から考察するようでありながら、結局何も得られず、フラストレーションが残る。同じようなテーマや設定でも、たとえばナンシー・マイヤーズが手がけたら生き生きして楽しいものになったのではと想像してしまう。キャストは超豪華でこの人たちが揃っているのを見られるのは純粋に楽しい。
この手の作品が減っているので、砂漠のオアシスのよう
結婚を考える若いカップルと、その親世代4人が織りなす、ラブコメとヒューマンコメディの中間くらいのジャンル。各人物の関係性を、できれば一切知らずに観た方が、本作の楽しさを存分に満喫できるかと。
4人の実力派ベテラン俳優が余裕たっぷりの掛け合いに臨み、上質な舞台劇を味わっている感覚。中でもリチャード・ギアの軽やかさを極めた演技は、本作のうれしいプレゼントだろう。芸達者たちのアンサンブルを眺めていると、近年、こうした作品が急激に減少するハリウッドの現状に悲しくなったりも。
それぞれの「結婚観」「人生観」が物語の粋なエスプリとして効果を上げているので、結婚について悩める人には多方面から参考になるはず。