生きて、生きて、生きろ。 (2024):映画短評
生きて、生きて、生きろ。 (2024)復興五輪のレガシーの傍らで
悲痛な叫びのようなタイトルが、本作の全てを物語っている。原発事故後から13年経った今も増え続けている遅発性PTSDなどを抱えた人たちと向き合う医療従事者に密着。その行為からは、「生きて」という必死の願いが聞こえてくるようだ。しかも医療従事者のみならず、患者の方もモザイクなし。両者のこの現実を伝えたいという覚悟が観客の目をスクリーンに釘付けにさせる。興味深いのは、メンタルクリニックの院長は沖縄での診療を続けており、遅発性PTSDは沖縄戦でも見られるという。原発と戦争。”お国のため”の大義名分ではじめたことの犠牲は市民が受ける、この負のスパイラル。復興五輪を唱えた人たちは本作をどう見るのだろうか?
この短評にはネタバレを含んでいます