ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US (2024):映画短評
ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US (2024)ライター3人の平均評価: 3.3
ブレイク・ライヴリー版『愛がこわれるとき』に転調!
全世界1000万部のベストセラー小説の映画化なのだが、ボストン舞台に今カレと元カレの板挟みになる三角関係なラブストーリーから、いきなりブレイク・ライヴリー版『愛がこわれるとき』へと転調! 近年では珍しくガンガン流れるサントラは心地良く、ラストで判明するタイトルの意は深い。ジャスティン・バルドーニ監督自らがDV野郎を演じる心意気も買いたいところだが、焦らしまくる回想場面など、かなりゆったりとした演出は歯がゆさが残る。しかも、「あの描写」が伏線だったというビックリ展開にも疑問を感じる。とはいえ、4児の母とは思えぬライヴリーの美貌を拝みたいのであれば、問題なし!
ロマンチックコメディで始まるが、本題は深刻
ふたりの出会いのシーンは、いかにも(そんなに良くない)ロマンチックコメディ。真剣な恋に発展していくところはまじめな(これまたそんなに良くない)恋愛映画。と思いきや、半分進んだところでようやく本題に。夢のような恋でもこんなことになるのだと見せるために時間をかけたのか?そこはどうあれ、トーンが散らばる上、主人公リリーのティーンの頃のフラッシュバックも多すぎて、全体的にもたつく。都合の良い偶然が多いのも気になる。普通にロマンチックコメディなら受け入れるけれども、本題が深刻だけに信憑性が薄れてしまうのだ。それでもアメリカではヒットしたし、大事な事柄について考えてもらうきっかけになるのであれば文句なし。
大人の恋のときめきがシビアなテーマへ移って戦慄も
滑り出しは明らかに過去に何やら抱えた大人同士のラブストーリー。主人公2人が偶然、アパートの屋上で出会い、会話する冒頭(やや長いけど)では、その後の波乱も予感させ、実際に前半は何度かときめくシーンもちらほらと、基本はロマンチックな結末を確信する。しかし、単純にそうならないのが本作の持ち味。
唐突に「別の話が始まった?」という転換や、親密さと危うさの両面を感じさせる描写(けっこうドキリとする!)も、じわじわテーマに引き寄せるうえで効果的。
B・ライブリーは通常運転。それゆえ観やすい。難しいのは相手役の演技だが、監督が俳優として自ら請け負っており、そこを前提で観ると「作品の意思」が伝わりやすいかも。