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COP CAR/コップ・カー (2015):映画短評

COP CAR/コップ・カー (2015)

2016年4月9日公開 88分

COP CAR/コップ・カー
(C) Cop Car LLC 2015

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.3

轟 夕起夫

ベーコン祭りにして、ジャンルを横断するジョン・ワッツ祭り

轟 夕起夫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 黄昏れた野原に囲まれた広大なハイウェイが、セルジオ・レオーネの描く西部に見えた。一台のパトカーをパクる悪ガキ2人に、悪徳保安官ケヴィン・ベーコン(笑える。最高!)。これだけ揃えれば面白い映画はできる。ただし監督の腕さえあれば、の話だが。

 その新鋭ジョン・ワッツはレオーネばりの“焦らせと引っぱり具合”が堂に入っていて、大したもの。緊張と弛緩のバランスが抜群なのだ。基本設定に登場人物を足していき、たわいもない子供の遊戯が悪夢に飲み込まれていく物語を右へ左へ転がし、しかも90分以内にタイトに仕上げる手練手管=ハンドリングはドン・シーゲルのようでもある。寓話の彼方へと消えていくラストもいい。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

子供の無邪気な浅知恵が招く惨劇

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 家出をした小学生の少年2人組が森で無人のパトカーを発見。あれ、鍵ついてるじゃん!動くじゃん!ライフルとか防弾チョッキとかあるじゃん!ってことで勝手に乗り回して遊んだところ、とんでもない事件に巻き込まれてしまう。
 というのも、持ち主は悪徳保安官。トランクには人質らしき血まみれのチンピラが。こいつらがまた、行き当たりばったりの中途半端な小悪党なもんだから、事態はどんどん悪い方向へ転がっていく。
 低予算のインディーズ映画ゆえに展開はかなり地味だが、子供の無邪気な浅知恵が招く惨劇を容赦なく描いている点はポイント高い。悪い大人のお手本みたいな保安官を演じるケヴィン・ベーコンの情けなさも秀逸だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

新鋭監督ジョン・ワッツ――「俺の才能」のプレゼンとして完璧!

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

アメリカの田舎で少年ふたりが、ワケありの男に遭遇し……という設定はM・マコノヒー主演の『MUD』に似ている。だがこちらはシチュエイション・ミステリーとしての密度が高く、ブラック・コメディとしても破格。悪徳保安官K・ベーコンはもちろん、子役も含む数人の役者が皆やたら巧い。

身の丈を超えたガキの遊びが、悪いオトナの本気に火をつける。このターボの掛け方が抜群。シンプルな仕掛けで映画の快楽をドライヴさせる手腕は、数多い『激突!』チルドレンの中でも最高の部類だろう。フリーキーなロック系のサウンドデザインにも驚愕。監督はこれが長編二作目のJ・ワッツ。金はなくてもアイデアと演出力で完全勝利を収めた逸品だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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