ウェイキング・ライフ (2001):映画短評
ウェイキング・ライフ (2001)リアルとアンリアルの境界が溶けていく
今、夢を見ているのか、起きているのか、それがはっきりしないあやふやな感覚。本作の実写映像をデジタル・ペイントした不思議なアニメーションは、そんな感覚を引き起こす。この感覚は日常生活から切り離された2020年春の今、さらに味わい深い。目に見えているものの形が定まらず、常に変形し続ける。見えているものと自分の間の距離感が不安定で、うまく測れない。身体がふわりと浮遊するときの奇妙な既視感。そこから見下ろす風景は、いつも見ているもののようで初めて見るもののようにも見える。無数の登場人物たちが人間とは何かについて語るが、それを語る彼らの形が定まらないことの方に目を奪われて、言葉がただ素通りしていく。
この短評にはネタバレを含んでいます