ゼイリブ:映画短評
ゼイリブライター2人の平均評価: 4
初公開時より今の方が説得力を感じられるかも?
「ジョン・カーペンター レトロスペクティブ2022」でのリバイバル。知らぬ間に地球がエイリアンに乗っ取られ、人類は彼らの家畜に成り下がっていた!という侵略型SF映画。特殊なサングラスをかけると人間に成りすましたエイリアンだけでなく、宣伝広告に隠された「権力者に逆らうな」「考えるな」「産めよ増やせよ」といったプロパガンダまで目に見えてしまうというアイディアは今見ても秀逸だ。当時のレーガノミックスによる物質主義と経済格差の拡大を危惧したストーリーは、新自由主義とグローバリゼーションで世界の富が一極集中化した現在の方が真実味を感じられるだろう。劇場公開時以来の再見となったが、当時よりも楽しめた。
何年かぶりに見直すとまた面白い
ジョン・カーペンター監督の3作が特集上映に。何年かぶりに『ゼイリブ』を見ると、この映画が描いていた状況が、現在もまったく変わっていないことを痛感するが、この感覚は、実際に今見なければ感じ取れない。特殊効果技術が古いことは、物語自体のインパクトを損なうわけではないのかもしれないと思ったりもする。当たり前だが、年月を経て見直すとどう感じられるのか、それを体感するのも映画の面白さだと再確認。
ちなみに、今回上映の3作の尺はどれも短く『ザ・フォッグ』は90分、『ニューヨーク1997』は99分、『ゼイリブ』は96分。昨今、2時間30分近い映画が増える中、この尺の短さが、体感としてかなり痛快。