オリエント急行殺人事件:映画短評
オリエント急行殺人事件一見すると地味な難役を見事に演じきったバーグマン
ケネス・ブラナー版も決して悪くはなかったが、しかしこのシドニー・ルメット版の醸し出す優美なエレガンスとは比べるべくもないだろう。そもそも映画史・演劇史に燦然と輝くレジェンドばかり揃えた、オールスター・キャストの顔ぶれは別格。しかも、撮影に使用されたのは’30年代のオリエント急行で実際に稼働していた本物の寝台車。その洗練された豪華な内装デザインが往時の栄華を今に伝える。やはり目立つのはローレン・バコールやウェンディ・ヒラーの派手な芝居だが、しかし最も高度な演技力が要求されたのは一見すると地味なイングリッド・バーグマン。アカデミー助演女優賞も当然であろう。(シネフィルWOWOWにて5月放送)
この短評にはネタバレを含んでいます